熱電対温度計 (2)




  1. mV計からの 熱電対温度計(秋月キット)


  mV計の 専用LSI (ICL7136)と そのためのLCD表示機(液晶パネル、SP521)が、専用基板と共に、まだ販売されている。基板とのセット温度計キット(再開) そこで、熱電対温度計として公開されている回路図に沿って、部品を集めて作成することにした。 使用する熱電対は、プラスチックの柄付きの ステンレスシールドの K熱電対(アルメル(−)、クロメル(+))を用いた。 (零調(200kΩ)はそのままで、)増幅率のVR(100kΩ)は、調整しにくいので、ポテンショメータに付け替えて ケースの外から調整しやすいようにした。

  また、K熱電対の常温起電力に対する補正として、負の勾配を持つ温度センサ S8100B (−8mV/℃)を用いて、 40.7μV/℃ −8mV/℃ × 2.4kΩ / (470kΩ + 2.4kΩ) ≒ 0  のように行なった。(別途 基板)

  ・ 調整は、氷水に漬けて零点調整VRで 0℃に表示(あるいは、温度計で正確に測った室温を表示)してから、アルミニウム(Al、融点660℃)を、前章のFET高周波炉で黒鉛るつぼに溶融して、直接 ステンレス保護管に入っているK熱電対を挿入して温度を測り、表示が660℃になるように増幅率(スケール)VR(100kΩ)を調整し、これを3度繰り返して調整した。
  ・ 精度はそこそこで、600℃近辺で ±3℃くらいだと思われる。 600℃から大きく外れる温度を測定する場合、調整しなおさなければならない。
  ・ このK熱電対は柄がプラスチックなので、長時間や高温の測定はできない。
  ・ 尚、Alが付着したステンレス管は、苛性ソーダ溶液で溶ける。(Znは希硫酸で)


 






  2. PCグラフィック表示 K熱電対温度計:


  2つの穴の開いた保護管(φ3mm、=通称”ブタッ鼻”)に通した クロメル(C、+)線、アルメル(A、−)線を、さらに外φ6mm、内φ4mmの保護管に入れた、K熱電対で測定する。 (* 熱電対の先端は、2線をねじり、フラックスとして硼砂をつけて、高電圧アークで溶接。(感電注意) R(白金−白金ロジウム)熱電対は何も付けないで同様にアークで溶接する。)
  アンプ部の設定は、K熱電対が±2℃くらいで直線とみなしうる、550℃〜950℃程度の測定用とし、補正計算は行わないシンプルな形とする。

  熱電対の起電力(mV)は、初段で LT1167(計装アンプ)で19倍程度(=49.4k/(G − 1); G電圧増幅率=19)とし、プラス側のみの単電源動作にする次段の NJM2732D(フルスイング・オペアンプ、単電源)の差動増幅器で 約5倍に増幅して、PIC18F2550の アナログ入力(AN0)に入れる。
  AD変換は10ビットで、0−1023までで、0V−Vref (=4V)を1024分割して、ちょうど 0℃ から 1023℃ までの数値になるようにし、最もシンプルに、そのまま下の桁からの4つをバッファに入れて、表示用のPCへUSBで送る。

  冷接点起電力の補正は、S8120C で行なった。
      温度勾配の補正:  −8.20(mV/℃)×(2.342(kΩ)/(470(kΩ)+2.342(kΩ))) + 40.7(μV/℃) ≒ 0
      切片の補正:   →  零調VR で行なう
  熱電対の冷接点部分には、キャリブレーションとの切り替えSWを設け、調整を容易にした。

  5V電源はPCから取ると変動が大きいので、9Vスイッチング電源を、さらに低ドロップの 5Vレギュレーターで落とした。
  また、熱電対は金属でシールドされていないので、ノイズの振れ幅が大きい。 そこで、マイコンのAN0入力の所に 10μF×2のチップコンを入れ、ソフトでは、200mSごとに10回足して10で割る操作(=2秒間の10回平均)を加えて、振れ幅を抑えた。

  USBで PCに送られてきた4桁のデータは、Text Box に表示(測定時のみ)され、数値化されて 横軸を時間軸として、約2.1秒ごとに折れ線グラフで表示する。 急冷する高温での凝固曲線を見たいので、横軸の時間は間隔1分の全10分程度と短くした。 PCソフトの作成は、ビジュアル・ベーシック2010で行なった。


 
 

    § マイコンプログラム:  PIC18F2550

    § PCプログラム:  temp K.vb、  temp K.Designer.vb、  Module1.vb


  (調整の手順)

  1) ツェナーシャントレギュレーターを 4.00Vに設定。 (電圧リファレンス 4.096Vを用いても良い)

  2) PCソフトを開き、キャリブレーション端子を短絡して、≒室温 になるように、零調VR(2kΩ)を調整する。 次に、SWを熱電対に切り替えて、同様の温度になっていることを確認する。
     また、氷水に熱電対を漬けて、おおよそ0℃になっていることを確認する。 (かなりずれているはずなので、おおよそで良い。)

  3) 手製の簡易mV発生器から、キャリブレーション端子に所定の電圧を与えて、
         常温  →  600℃表示(24.9mV印加)  →  900℃(37.3mV)  →  300℃(12.2mV)  → 常温
のように変動させ、特に、24.9mV印加で正確に600℃になるように、計装アンプの R(1kΩ)を調整する。
     2)、3)を 数回繰り返す。(ここまで、予備調整)

  4) 高周波炉、あるいはマッフル炉等でアルミを溶かし、アルミの凝固点(660℃)で、本調整する。 炉の駆動中はキャリブレーション側にして短絡し、炉の電源を切ってからSWを熱電対側にして 測定し、アルミの凝固曲線を得る。 (このときもう零調はいじらないようにする。 アルミは、25gくらいで、なるべく純粋なものを用いる。 アルミ缶やアルミサッシは合金。)


  (注意事項)

    ・ 保護管は熱ショックに弱いので、急に溶湯に差し込むのは避け、金属に差し込みっぱなしにして、ゆっくり温度を上げ下げする。(アルミナ管の方が良い)
    ・ 保護管をるつぼの底まで入れて、熱電対は底から1〜2cm程度の高さにしておく。(目印をつける)

    ・ 異常値が出るので、測定中は熱電対には手で触らないようにする。 裸の、シールドなしの熱電対では、ノイズによるある程度のふらつきはやむを得ない。曲線にして読み取るようにする。
    ・ シースとまではいかなくても、ステンレス蛇腹管を被せてアースすると、ふらつきが減る。

    ・ 熱電対の起電力は必ずしも直線ではないので、各金属ごとに調整し直すのが無難。 (アルミニウム660℃(27.45mV)、 銀962℃(39.78mV、ただし銀は酸素を吸収しやすく、凝固点は10℃も下がるので注意)、 銅は1085℃で >1023℃より、測定できない・・・ 200℃程度シフトする方法もある(↓)、  亜鉛419.5℃(17.24mV)、 シルミン(Al・Si合金)約582℃、 ジュラルミン502−645℃、など。




 

  アルミニウム(660℃)で調整してから、亜鉛(Zn、m.p.420℃)を測定。 1〜2℃低めに測定される。

  




  3. 200℃上げたK熱電対温度計:


  銅や真ちゅうなどの 900〜1100℃くらいの温度測定のために、200−1223℃を ADコンバーターで1024分割した値に、さらに200を足して送り、PCでは グラフの表示値を −200にして表示する。 (1000℃以上で合わせると、900℃以下は偏差が大きく 実用的でない。)
  ADコンバーターのための Vref− は新たに設け、Vref−(0.736V) − Vref+(4.50V) 間を 1024分割する。(電源は安定化させる。)
  2.と同様に、キャリブレーションを十分行なった後、1回 本調整して、凝固曲線を得る。

  加熱には、前章の FET・ZVS方式の高周波炉を用いた。(36V・15Aくらい) 2.と同様に、加熱中はキャリブレーション側にして短絡し、加熱電源を切ってから 熱電対側に切り替える。

  K熱電対は、秋月電子の細いもの(@400円)を用いて十分測れたが、周りのセラミック繊維(ガラス繊維?)が持たず アルミナ管とくっついて取れなくなった。金属は黒鉛るつぼとの剥離性が良いので、保護管ごと抜ける。 銅(Cu、m.p.1085℃、 約60g)の溶融は、直接黒鉛るつぼで行ない、酸化防止のため黒鉛粉を一さじ入れた。


 

 
  



  (参考)

   K熱電対は、比較的直線性の良いほうで、簡単な用途にはそのまま用いることができる。しかし、さらに高温・低温領域や、R熱電対、その他の熱電対では複雑な曲線となり、一般に、起電力(V)を入力して 温度(℃)を出力する、8次多項式などの補正計算を行なう。 計算は複雑なので、PICマイコン内ではせいぜい3次程度までしかできず、一般的にはPCで行なう。 参考データ また、冷接点補正には補償導線を用いることが多い。
    また、全く原理の異なる、白金薄膜抵抗センサでは、最高650℃ (ふつうは300〜400℃程度)までしか測定できない。

  





   § 死と 生の 曲線:


   「冷却曲線」は、 y = −t 型の関数になります。 これは、x方向に時間軸を取り、「ある初期の状態」が起点にあって、初めは急に、次第にゆるやかに、最後までだらだらと減衰する、「減衰曲線」の形です。 時間の矢に従って、エントロピーが増大していく形象と同じです。 いわば「熱的な死」ということになります。

  初期に存在するものが、 高熱源、 コンデンサーに蓄えられた電荷、 高濃度の物質、 放射性物質、・・・ により、それぞれ、 「冷却」、 「放電」、 「拡散」、 「放射性崩壊」、・・・ になり、すべて、「自然対数の底(てい):  : バカボンのパパ みたいな名前?これでのだ) の時間を含むマイナス実数乗 の形になります。


  コンデンサーに蓄えられた電荷の、抵抗を介しての放電曲線は、
  

  また、内部エネルギーのうちのTS(T:絶対温度、S:エントロピー(乱雑さ)は、閉じた系において、もはや力学的に利用できない熱エネルギー成分であり、エントロピーが最大になるとき、いわば”熱的な死”を意味します。(t → ∞、 S → ∞、 S = k ln W (ボルツマンの式))
  

  宇宙からの高エネルギーの中性子線を起源とする、大気中の C14 が植物に固定された時期を C14/C12の初期状態として、放射性のC14が崩壊して、その放出量が少なくなった分を測定する、C14年代測定法についても、この 指数的に減衰する曲線となります。
 


  一方、 「自然対数の底(最近では”ネイピア数”ともいう):  の時間を含む虚数乗 の形  y = iω t  になると、これは 永遠に振動する、いわば 「永遠のいのち」の形になります。

  電磁波(=光)の振動は、マックスウェルの方程式:

  


  量子力学の波動関数の振動は、本質的に、実数部虚数部との間の往復となり、このような振動は古典物理学には存在しません。そして量子力学は、大宇宙レベルから素粒子の微細な構造に至るまで、自然界のすべてを記述しています。
             
                      ただし、φ:水素原子の z 軸上の回転角、 時間因子 



  このように、いのちを表す式に特有の、数学3定数 π、 e、 i は、自然界のすべてに書き込まれています。 特に、 (自然対数の底は、 すべてのものの「死」 と 「生」 を分ける、基準となっています。
  神様は、この天地万物を造られました。 芸術作品が作者の性質を反映するように、天地万物・自然という被造物も、当然、作者である、三位一体の神のご性質を反映しています。




    「において、あかしするものが三つあります。 御父、ことば、聖霊であり、これらの三つが、一つの存在です
    また、地において、あかしするものが三つあります。 御霊と、水と、血です。その三つが、一つになるのです。」 (Tヨハネ5:7、8 (TR聖書の訳)) * ことば = キリスト のこと

    「神の見えない性質、すなわち、神の永遠の力と、神性とは、天地創造以来、被造物によって知られ、明らかに認められるからです。」 (ローマ1:20)

    『かしこより来たりて、生ける者と 死にたる者とを さばきたまわん。』 (使徒信条、 Uコリント5:10、 黙示録20:11)


    「は、主の道の初めから、(天地創造の)働きの以前から、私と共におられた。」 (箴言8:22)

    「神が天を堅く立て、深淵の面に円を描かれたとき、わたしはそこにいた。 ・・・・ わたしは神のかたわらで、これを組み立てる者であった。わたしは毎日喜び、いつも御前で楽しみ、神の地、この世界で楽しみ、人の子らを喜んだ。」(箴言8:27−31)

    「するとイエスは言われた。「なぜわたしをお捜しになったのですか。わたしの父の働きの中に、わたしが在らなければならないことを、ご存じなかったのですか。」」(ルカ2:49)

    「その日には、天は大音響をたてて消え去り、物質原子は焼けてくずれ、地とその上に造られたものも、みな焼き尽くされます。」 (Uペテロ3:10)




     (参考)  キリストの根源的ご性質、    電磁場の直交性  物理化学の e、   地層年代とノアの洪水





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